2010年7月5日。
とても晴れていたその日
僕は、淡路島の東浦のバス停に降り立ち、
スーツのジャケットを片手に、もう片方の手に履歴書の入ったカバンを持ち、
陽炎が見える道を「これはヤバイ」と言いながら汗だくで、
乗馬クラブ『ハーモニーファーム淡路』に歩いて向かっていた。
小一時間くらい炎天下の中を歩き、
汗だくで着いたハーモニーファーム淡路。
クーラーの効いたクラブハウスで面接を受けた僕は、
友達から「出された飲み物は全部飲まないと面接落ちるから飲みや」という今となってはホンマに?と思う言葉を固く信じて、
お出しいただいた、当時、全く飲めなかったブラックのアイスコーヒーを一気に飲み干し、
苦手なので味わえない様に勢いよく飲んだのを見ていたムネツグ社長から
「なんや喉渇いてるんか。もう一杯出してあげて」と、出された2杯目のアイスコーヒーを目の前にしながら、
ムネツグ社長から「ホースボールは出来んけど馬は勉強できるからまあ来たらどうや」と言っていただき、
無事に面接が終わり、
2日後の7月7日に仕事初めとして京都から淡路島に引っ越ししてくる事が決まった。
3杯目が出てこない様に、席を立つ間際に2杯目のアイスコーヒーを一気に飲み干し、
ムネツグ社長から「え。こんな中、歩いてきたんか。送迎あるのになんで、たのまんかったんや」
と言われ、
「絶対に働き始めたかったので、お手数おかけして落とされる可能性を1ミリも持ちたくなかったからです」
と言っていた2010年7月5日。
馬を勉強するために入れると決まったその日から、軽速歩も出来ない、ひとりで馬の事を何も出来ない、
そんな馬についてド素人の僕は
本当にたくさんの
思い出したい・思い出したくない数々の瞬間を過ごし、
12年もかかってしまいましたが、
ようやく夢のスタートを切る事が出来るところまで辿り着けました。
本当にど素人だったなと思えるあの日から、
今、ブログを更新してくださいと言われながら書いているこの瞬間。
その間が、12年。
色々と想いふける事があります。
そして、3日前の2022年7月2日の夜。
ワールドカップの抽選会がオンラインミーティングであり、
司会のパオロが一番沸いてくれた日本vsイタリアの試合の決定の瞬間。
みんな僕が本当に何にもないところから始めているのを知っているので、
オンラインミーティング上にも関わらず、
知ってる赤ちゃんが時が経って、中学校に入ったのを見て感慨深く喜んでくれている様な雰囲気が満点でした。
本当にとても嬉しかった。
抽選会にイタリアの代表として参加していたイタリア代表選手でもあるルカとカミラは、
2016年のワールドカップで仲良くなり、ルカは家族旅行で日本に来た時に一緒に色々と回ったり、そんな思い出も含めて、
思い出す事が多々あり、
心の中で泣かせていただきました。
今回のワールドカップは
日本はまだまだ未熟ですが、少し育ちましたとお披露目しにいく様な気持ちで、
先ずはみんなの安全を第一に、ちょっと沸かせるプレーを出来るかも知れないと考えてトレーニングをしています。
ホースボールをやりたいと集まって来てくれたみんなに用意してあげられた今の環境も、
まだまだ理想には程遠く、
まだまだ自分も含めて練習不足であるのは重々承知の上でのワールドカップの参戦となります。
負ける。大恥をかく。成熟度の低さを露呈する。迷惑をかける。指を指されて笑われる。全部、重々承知で、それでも行かせていただくのは、
たくさんの歴史の本に最初にする人はそれを被ると書かれていたからです。
誰かがやらないと始まらない。
正気の沙汰ではない事は、
自分でも分かっています。
普通に、
全部整ってから出たいとはやっぱり思いますが、
でも本当に色々と試して試して、
本当にたくさん試して、
やっと、本当にやっと手に入れた今。
ワールドカップがなければ、
正直、まだまだ進んでいなかったのは間違いないので。
そういう運命だなと受け入れて
行って帰ってきます!
改めまして、
本当に本当に皆様ありがとうございます。
クラウドファンディングでご支援くださった皆様も、
「ワールドカップがんばってください」と一言言ってくださるご近所の皆様も、
企業協賛いただいた企業様も、
そしてホースボールをしに集まってくれたメンバーも、
メンバーのご家族、恋人、ご友人の皆様にも、
心配と応援が混ざったなんとも言えない気持ちをお持ちだと思いますが、
今回のワールドカップを経て、
日本で皆様にホースボールの試合をお見せしたいので、
今夏のワールドカップ後の来年には、
国際試合の開催をしたいと考えております。
ホースボールを生で見てもらいたいし、
今が素晴らしいクオリティでないとしても、
いつか素晴らしいクオリティのホースボールを日本でしている瞬間を見てもらうために。
引き続き、
がんばります。
皆様、暑い日が続きますので、
ご自愛くださいませ。
それではまたです。
2022/07/05
西島 隆史