2009年、冬。
アジアでは中国の北京にあった2つのホースボールチームが、
ホースボールを存分に楽しんでいた。
そして、日本でも4箇所の乗馬施設でホースボールを試してみようと試行錯誤しているところだった。
その時、
僕は世界にそんなスポーツがあるなんて全く知らないどこにでもいるただの25歳だった。
友達と遊ぶために待ち合わせをしていた本屋で、
それまでの人生で一度も手に取った事のなかった乗馬雑誌、
『 乗馬ライフ 』をたまたま手に取った。
何気なく見始めた雑誌を、
簡単にパラパラめくる指が、たった一枚の写真が載っていたページでとまった。
ホースボールのフランス代表が整列している写真だった。
「なんこれ。めっちゃかっこいいやん。」と、
その瞬間に、ものすごい衝撃が走った。
そこに友達が現れて、
僕は雑誌を閉じ、ひとまず遊びに出かけた。
帰り道、
電車を降りて夜の道を歩きながら、
「あの写真、もっかい見たいなー」と何度も思った。
次の日、
近所の本屋に行き『乗馬ライフ』を手に取った。
そしてまた、ホースボールのフランス代表が写っているページを眺めた。
「やっぱ、めっちゃかっこいいやん。」
しばらくその1ページだけを眺めながら、ずっと「かっこいいなあ」と
単純な感想を思い続けた僕は、その雑誌を買って本屋を出た。
それから、
毎日毎日、その雑誌のそのページを眺めたり、
Youtubeに載っていた「 horse ball p1mixtape volume 1 」というタイトルの動画を
暇を見つけてはずっと観ていた。
友達や、初めて会う人にも、
「 ホースボールって知ってる? 」から始まり、
その説明をしながら、いつもただホースボールの説明をしているだけの自分が
とてもダサく感じてきて
気がつけば、
ただ単純に「かっこいい」と思っていたところから、
「 おれもホースボールやりたい 」に完全に変わってしまっていた。
つづく・・・